土曜日, 5月 05, 2018

家畜人ヤプーを読む 2018

読み終わって今感想を書き始めてみたが.実にまとめづらい作品だ、なので散文としてちょっと書くだけ.

まず長い、たった20時間のストーリーが1,500ページにも及ぶ.
これはイース世界の文化やさまざまなヤプーの説明が頻繁に挿入されるからだ.
イース世界の説明は文章でしか出来無いだろうから理解出来るが、さまざまなヤプーの形態を文章化する事は不可能だろう、今回どんなモノだろうとかと漠然としたまま読み飛ばしてしまった事が度々有った、あとがきによるとこの奇書は過去に石ノ森章太郎さんにより劇画化されているそうだ、また最近でも江川達也さんもトライした事は知っているがどちらも頓挫したみたい、ハインドサイト(後講釈)になるが沼正三さんはイラストレーターを使いイメージを描いて貰えば一目瞭然、話はだいぶ短くなったと思う.

私の読んだのは幻冬舎版、アウトロー文庫、初版は1999年、全部で5冊有るが後書きと解説が充実しており過去に発表されたモノを巻末で読ませてくれるおまけ付き、現時点でこれが最後の刊行だと思うが著者とされる天野哲夫さんは2008年に他界しているのでこれより後に発表された情報は乏しい筈だ.なるほど当時の社会風浴、作品の位置づけ.作者の正体等興味深い話がたくさん語られる.

完全な差別社会であるイースの世界観は非常に興味深い、なので続きは読みたい、沼正三さんの去った今この奇書は現代作家の誰かによって書き直されても面白いかもしれない、半村良さんの戦国自衛隊を福井晴敏さんが新しく書き直した様に、、、

結婚を間近に迎えたドイツ人女性と日本人男性が主人と奴隷になる、この話元々この屈辱をテーマに書き始めたストーリーだと推測される、そして読者は読み始めてすぐそれを期待するハズだ、しかし著者は手加減しているのか、その精神的屈辱はあまり感じられない、そして中盤になると話はパロディとかコメディになってくる、雑誌の連載モノで有った事が理由だろうが、ストーリーは突然強引に終了する、しかしあの「無条件降伏」には私は納得出来無い.

写真は米国のamazon.com.

この本は翻訳されていないみたい、日本語でしか読めない、半日自虐小説なので日本人は受け入れられるだろうが、白人や黒人はこれを読んであまり清々しさは感じないだろう.

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